薄久保 香 / Kaoru Usukubo
マグリットの遺伝子を受け継ぐ超現実的絵画

概要
薄久保香(1981年、栃木県生まれ)は日本の画家。
ベラスケスやダリのような洗練された古典的技術をもって、超現実的でどこかルネ・マグリットを彷彿させる顔を隠した子どもや少女のポートレイトとファンタジックな透明感のある世界を描く。
薄久保は、テレビゲームやアニメといった虚構の世界、あるいはコンピュータやデジタルカメラといった映像データの世界に幼少時から慣れ親しんできたこともあり、仮想現実と現実世界の間で、リアリティについて問いかける絵画を制作し続けている。
2007年4月に行われたアートフェア東京そして、6月のバーゼルでのアートフェアVOLTA show03をきっかけに世界中から注目を集め始める。
広く一般的に知られる機会があったのは2011年の横浜トリエンナーレ。「D&D Delicate discovery」では、後ろ向きでちょこんと座っている少年の髪が立てており、テレパシーや霊的な現象を感じ取る子どもの無垢なパワーを表現しているように見える。
しかしその一方で、薄久保の描く少年や少女たちは、どこか孤独で悲しげである。腕で顔を隠している姿は泣いているように見える。遊んでいる絵にしても、複数の子どもたちが楽しそうに描かれる風景ではなく、大体は一人遊びである。かつて、ルネ・マグリットが大衆の孤独性表現したが、薄久保が描く子どもたちにもルネ・マグリットが描く大衆の姿と重なるところがある。
きしくも、現在、ルネ・マグリットの故郷ベルギーのブリュッセルで、若手日本人に焦点を当てたグループ展「Wabi Sabi Shima – Of the Aesthetics of Perfection and Chaos in the Japanese Archipelago」に彼女の作品が出品されている。



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