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【作品解説】マルセル・デュシャン「トランクの箱」

トランクの箱 / Box in a Valise

デュシャンの主要作品を持ち運びできる箱


マルセル・デュシャン《トランクの箱》1941年
マルセル・デュシャン《トランクの箱》1941年

概要


作者 マルセル・デュシャン
制作年 1941年
メディウム 写真、革製トランク、20部限定
サイズ 40.7 x 38.1 x 10.2 cm
コレクション ニューヨーク近代美術館

《トランクの箱》は1941年にマルセル・デュシャンによって制作され、出版された複製芸術作品。《大ガラス》をはじめデュシャンのさまざまな作品のミニチュア・レプリカ、写真、複製をおさめた革製のトランク。1から20までの番号と署名入りの20部限定豪華版と、番号なしの300部未満の普通版がある。

 

デュシャンは何か新しいものを描くかわりに、自分の好きな絵やオブジェを複製して、それらを集めてできるかぎり小さな1つのスペースに凝縮させる表現を考えていた。

 

また持ち運び可能な「ポータブル性」を意識した芸術を制作しようとしたため、当初は本にすることを考えたが、思う通りにいかなかったので箱に変えたという。つまりポータブル美術館なのである。

 

《グリーン・ボックス》や《ホワイト・ボックス》が紙の上の観念の領域での活動に対して、《トランクの箱》は、デュシャンが現実の世界で産みだした作品の数々が、あるいはミニチュアで、写真やカラー複製の形で集積されている。実質上このトランクの箱にはデュシャンの主要作品がすべて網羅されている。

 

このデュシャンの実際作品の集積の《トランクの箱》と観念上の集積作品《大ガラス》の延長にあるのが最後の作品《遺作》である。

 

なお、制作にはジョセフ・コーネル、クセニア・ケージ、ジャクリーヌ・マティスなどの長期的な協力があったという。