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【作品解説】バルテュス「おやつの時間」

おやつの時間 / Le Goûter

今まさに起こりつつある破局を少女で表現


※1:バルテュス《おやつの時間》1940年
※1:バルテュス《おやつの時間》1940年

概要


作者 バルテュス
制作年 1940年
メディア 油彩
サイズ 72.9 cm × 92.8 cm
所蔵者 テート・モダン

《おやつの時間》は、1940年にバルテュスによって制作された油彩作品。72.9 cm×92.8 cm。テート・モダン所蔵。モデルの少女は、第二世界大戦中バルテュスが一時期住んでいた農家の娘ジョルジェット・コスラン。

 

第二世界大戦の勃発とともに動員されたバルテュスは、アルザスに送られるものの、負傷してパリに帰還する。パリがドイツ軍に占領された後、バルテュスは、妻のアントワネットとともにフランス南東部のシャンプロヴァンに逃れた。本作品はそのような背景で描かれた作品である。

 

本作品はカラヴァッジョの《果物籠》を下敷きにしているように思える。

 

テーブルの幕に少女は手を付けているが、幕を開ける行為は、キリスト教美術では聖なる学問の啓示を意味するが、ここではナイフがテーブルの上のパンを貫通し、その鋭い切り先はワイングラスに向けられている。手前にある果物籠はリンゴが今にも手前に落ちそうだ。

 

本作における貫通するナイフ、不安定な構図、厳しい少女の表情は、キリスト教の聖餐より、今まさに起こりつつある破局「第二次世界大戦」を告げているようである。

※2:カラヴァッジョ《果物籠》(1597年)
※2:カラヴァッジョ《果物籠》(1597年)

■参考文献

・東京都美術館「バルテュス展」図録

 

■画像引用

※1:http://www.fonds-balthus.com/en/loeuvre_gallery.php?id=3

※2:http://thegolfclub.info/related/caravaggio-still-life-images.html