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【作品解説】オディロン・ルドン「キュクロプス」

キュクロプス / The Cyclops

潜在意識を表現する象徴主義運動の代表的作品


オディロン・ルドン「キュクロプス」(1898-1900)
オディロン・ルドン「キュクロプス」(1898-1900)

概要


「キュクロプス」は、1898年から1900年頃にかけてオディロン・ルドンによって制作された油彩作品。19世紀後半に発生した潜在意識を探求した象徴主義運動の代表的な作品の1つと見なされている。象徴主義はのちにシュルレアリスムに大きな影響を与えた。

 

本作は、最も有名な1つ目巨人のポリュフェモスが、不幸にも水の精霊の娘ガラテアに恋をするギリシア神話を主題にして描いた作品である。

 

古来からポリュフェモスは獲物を襲っては食べ尽くす獰猛なモンスターとして描かれてきた。しかし、ルドンが描く1つ目巨人は、これまではまったく正反対で、危険性がなく、臆病なモンスターとして描かれている。

 

草木の上で、隙きだらけのまま全裸で寝そべるナディアを岩山の背後から優しい目でじっと見つめている。それは、処女を見守り続けるような穏やかな目だ。ポリュフェモスは、恥ずかしくてガラテアのあられもない姿とじかに向かい合うことができず、岩山のかげに身を隠してのぞいている。

 

二人のキャラは、二人を取り巻く色鮮やかで様々な色で混じり合った環境とは対照的にぼんやりした色で描かれ、一定の距離を維持している。

 

ルドンの作品において目は、しばしば人間の魂や神秘性、そして人間の不可思議な内面世界の象徴として独立した生物として描かれる。