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【作品解説】フランシスコ・デ・ゴヤ「魔女の夜宴」

魔女の夜宴 / Witches' Sabbath

スペイン異端審問や迷信社会を風刺


《魔女の夜宴》1821-1823年
《魔女の夜宴》1821-1823年

概要


作者 フランシスコ・デ・ゴヤ
制作年 1797-1799年
メディア 壁画、油彩
サイズ 140.5 × 435.7 cm
所蔵者 プラド美術館

《魔女の夜宴》は1821年から1823年にかけてフランシスコ・デ・ゴヤが制作した油彩の壁画作品。140.5 × 435.7 cm。『黒い絵』シリーズの1つで、ゴヤが居住していた「聾者の家」の壁に描かれたプライベート装飾絵画である。

 

暴力、脅威、老い、死などのテーマを探求したものである。ヤギの姿をした悪魔が不気味で恐ろしい魔女集会で、月明かりの下にシルエットのように描写されている。当時、ゴヤは75歳のころで、王宮から離れた孤立した場所で、肉体的・精神的に苦しみながら晩年を過ごしていた。

 

ゴヤは『黒い絵』シリーズにタイトルを付けておらず、本作品名はゴヤ死後に別の人が付けたものである。《魔女の夜宴》は西洋美術史においては、一般的に「迷信事に対する風刺表現」として引用される事が多い。ゴヤはおそらく当時のスペインにおけるスペイン異端審問を非難・風刺したものだとおもわれる。

 

スペイン王室の宮廷画家だったゴヤは、依頼を受け修道士ロレンゾの肖像画を描いていた。ロレンゾは、隠れ異教徒を探し出しては異端審問にかけることで、失墜しかけているカトリック教会の権勢を取り戻すべきだという提案をしていた。異端尋問にかけられた中には富裕な商人ビルバトゥア家の美しい娘で、ゴヤの絵のモデルでもあったイネスもいたという。

 

《魔女の夜宴》はゴヤの異端尋問に対する幻滅ややるせない思いを反映している。エッチング作品『ロス・カプリチョス』や『戦争の被害』と関連性の高い作品である。

 

1874年、ゴヤが亡くなってから半世紀後に本作は壁から取り外され、キャンバスへ移転、修復された。『黒い絵』シリーズにおいて最も横長の作品で、横幅は436cmもあるが、キャンバスに移転する際に絵の右側にあった約140cmの部分は切断され縮小された。

キャンバスに移転される前に写真撮影された壁画状態の作品。
キャンバスに移転される前に写真撮影された壁画状態の作品。